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漢方薬の選択は人それぞれ違う!?

漢方と聞くと、お隣中国を思い浮かべる人も多いかと思いますが、中国の伝統医学である中医学に対して、漢方医学は、その基礎が中国から伝わった後に日本の風土や日本人の体質に合わせて独自の発展を遂げてきた日本独自の医学です。(特に17世紀頃、大きく発展したと考えられています)


漢方医学においては、生薬を一定の規則で組み合わせて構成した漢方薬による治療が中心になってきます。一般的に体全体の状態を診て、人それぞれの体質や症状などに合わせた漢方薬が選択され、この人それぞれの体質や症状などを「証(しょう)」と呼びます。
また生命・精神活動を維持する重要な要素である「気・血・水(き・けつ・すい)」の変調に基づく診断、舌の状態を診る舌診、お腹の状態を診る腹診などのプロセスを経て治療が行われています。


風邪(感冒)の急性期を例にすると、発熱(但し、自然発汗を伴わないもの)や頭痛などがあり、胃腸が比較的丈夫な場合には、葛根湯(カッコントウ)や麻黄湯(マオウトウ)などの薬が適するとされますが、微熱で寒気があり、 胃腸が弱い場合などには、麻黄湯附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)などが適するとされます。
現在、漢方薬は臨床において、認知症の症状の改善、抗がん剤による副作用の改善など色々な病気や症状に対する選択肢の一つになっており、今後も注目を集める薬です。



★腕試し
漢方に関する次の記述で正しいものを選択しましょう。

  1. 漢方の考えでは、一般的に患者の体質や症状などを証(しょう)という言葉を使ってあらわすが、証をあらわすのは実証と虚証だけである。
  2. 内臓脂肪のリスクを考え、体が比較的虚弱でお腹が下りやすい体質の人に防風通聖散(ボウフウツウショウサン)を推奨した。
  3. グリチルリチン酸を含む薬剤を服用中に、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)を併用した場合、副作用があらわれやすくなることが考えられ注意が必要となる。
  4. 仮に証に合わない漢方薬を服用したとしても、漢方薬は副作用が少ないため問題ない。
  5. 肝臓の病気を持病で持つ人が健康増進のため、漢方薬を服用するのは問題ない。

↓解答・解説はこちら↓

  1. 漢方の考えでは、一般的に患者の体質や症状などを証(しょう)という言葉を使ってあらわすが、証をあらわすのは実証と虚証だけである。
    ⇒「×」 陽証と陰証、寒証と熱証など証をあらわすものは他にもあります。
  2. 内臓脂肪のリスクを考え、体が比較的虚弱でお腹が下りやすい体質の人に防風通聖散(ボウフウツウショウサン)を推奨した。
    ⇒「×」 一般的に防風通聖散は腹部に皮下脂肪が多く便秘がちな体質に適するとされ、お腹が下りやすい体質の人が服用した場合、下痢などがあらわれる可能性があります。
  3. グリチルリチン酸を含む薬剤を服用中に、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)を併用した場合、副作用があらわれやすくなることが考えられ注意が必要となる。
    ⇒「○」 甘草(カンゾウ)は成分としてグリチルリチン酸を含むため、偽アルドステロン症などが起こりやすくなることが考えられます。
  4. 仮に証に合わない漢方薬を服用したとしても、漢方薬は副作用が少ないため問題ない。
    ⇒「×」 漢方薬にも間質性肺炎など場合によっては重篤な副作用が起こる可能性もあり、基本的に証に合わない漢方薬を漫然と続けるべきではありません。
  5. 肝臓の病気を持病で持つ人が健康増進のため、漢方薬を服用するのは問題ない。
    ⇒「×」 漢方薬の中にも肝機能障害を引き起こす可能性がある薬は存在するため、自己判断で服用するのは危険です。
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