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第21回 飲み薬じゃなくても胃痛・胸やけはあらわれる!?

坐剤(坐薬:肛門から挿入する外用薬)は、医薬品の成分が直腸から血液中へ移行することで、同成分の内服薬(飲み薬)に比べて一般的に早く効果をあらわします。
(薬剤の中には、制吐薬のドンペリドン製剤のように、内服薬の方が坐剤よりも早く効果があらわれるものもあります。)


直腸の内壁にある粘膜は、比較的薄くその下に静脈が通っているため、坐剤の有効成分が循環血流に入りやすく、一般的に内服薬よりも全身作用の発現がはやいというのが主な理由です。


坐剤の中には、痔の治療薬のように局所作用を目的としたものもありますが、解熱鎮痛薬などの即効性を期待したい薬の剤形(剤型)としても有用です。
解熱鎮痛薬の多くは、NSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬)という種類に分類され、主な薬としてインドメタシン、ジクロフェナクナトリウムなどがあります。 一刻もはやく解消したい痛みや発熱に対して、NSAIDsの坐剤が有用となる場合もあります。


ところで、NSAIDs(解熱鎮痛薬)というと、その副作用に胃腸障害を浮かべるかもしれませんが、この胃腸障害は坐剤によっても引き起こされる場合があります。
NSAIDsは、血液中に移行した後、主にCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を阻害します。COXは、PG(プロスタグランジン)という痛みや炎症、発熱などを引き起こす体内物質の生成に関わる酵素のため、COXを阻害することでPG生成を抑え解熱鎮痛作用をあらわすという仕組みです。



一方で、COXは胃粘膜の増強因子などの生成にも関わる酵素です。
つまり、胃腸障害の主な理由は、飲み薬が胃に入って薬剤自体が胃腸に直接負担をかけるわけでなく、有効成分が血液中に移行してからその作用の仕組みによって、胃腸障害が引き起こされるということになります。
坐剤で胃に負担がかかる・・・とはイメージしづらいかもしれませんが、薬の作用があらわれる仕組みを考えると理解しやすくなります。


★腕試し
薬の吸収過程と作用に関する記述の内、正しいものを2つ選択しましょう。

  1. 一般的に内服薬は、口腔内で有効成分が溶出するように造られている。
  2. 外用薬の貼付剤(貼り薬)は痛み止めの湿布薬のように局所作用を目的とするものである。
  3. 軟膏剤などの外用塗布剤(塗り薬)は局所作用のみを目的とした製剤である。
  4. 禁煙補助剤として使うニコチンガムは有効成分が口腔粘膜から吸収され全身作用があらわれる。
  5. 坐剤には局所作用を目的としたものや全身作用を目的としたものがある。

↓解答・解説はこちら↓

  1. 一般的に内服薬は、口腔内で有効成分が溶出するように造られている。
    ⇒「×」 通常、内服薬は胃や腸で有効成分が溶出します。
  2. 外用薬の貼付剤(貼り薬)は痛み止めの湿布薬のように局所作用を目的とするものである。
    ⇒「×」 貼付剤でも全身作用を目的とする製剤がある。
    例として狭心症治療薬、認知症治療薬、頻尿改善薬などの貼付剤が臨床で使われています。
  3. 軟膏剤などの外用塗布剤(塗り薬)は局所作用のみを目的とした製剤である。
    ⇒「×」 塗り薬の多くは局所作用を目的としましたが、女性ホルモンを主成分とする塗り薬のように全身作用を目的とした塗布剤も存在します。
  4. 禁煙補助剤として使うニコチンガムは有効成分が口腔粘膜から吸収され全身作用があらわれる。
    ⇒「○」 禁煙補助薬のニコチンガムの使用方法(噛み方)は、口腔粘膜からの吸収を促すため、通常、ガムを口に入れしばらく噛んでから、ほほと歯茎の間にしばらく置きます。
  5. 坐剤には局所作用を目的としたものや全身作用を目的としたものがある。
    ⇒「○」 局所作用を目的とした製剤例として痔の治療薬、全身作用を目的とした製剤例として解熱鎮痛薬などがあります。
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