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第22回 腎臓の働きと逆転の発想で生まれた糖尿病治療薬

腎臓は、尿を生成する臓器であり、水分排泄やナトリウムなどの電解質排泄の調節、不要物質の除去、有用物質の保持など生命維持に重要な役割を果たしています。
肝臓などと並び薬との関わりも密接で、腎機能が低下すると薬物の除去機能が低下し、薬の作用が必要以上にあらわれてしまうことなども考えられます。


腎臓の尿細管という場所では、原尿中の糖(ブドウ糖)やアミノ酸などの栄養分、水分や電解質を血液中へ戻す再吸収が行われています。
生活習慣病の一つである糖尿病は、血糖(血液中の糖)が異常に高くなり、その後、様々な合併症を引き起こす病気ですが、その語源は、蜜のような糖分が常に出ることに由来します。
現在、糖尿病治療薬として血糖を下げるインスリンの注射剤やインスリンの分泌を促す薬など様々な種類の薬が臨床で使われています。


近年、腎臓の尿細管における、糖の再吸収に関わるSGLT2という物質を阻害することで、血液中に糖を再吸収させないようにする薬(SGLT2阻害薬)が登場しました。
血液中に糖が戻らないので、結果として血糖が下がり、本来再吸収されるはずだった糖は、そのまま尿と一緒に排泄されます。通常よりも糖分を多く含んだ尿が排泄されますが、血糖は下がり糖尿病は改善できる・・・という逆転の発想により、生まれた薬が臨床で活躍しています。



★腕試し
腎臓の機能に関して次の記述の内、正しいものを2つ選びましょう。

  1. 腎臓は横隔膜の下、背骨の左側に位置するソラマメ状の臓器である。
  2. 腎臓は水分や電解質などの調節に関わり尿の生成のみを行っている。
  3. 腎機能が低下すると薬物の除去機能が低下し、医薬品の作用が過度にあらわれることがある。
  4. ネフロンは腎臓の基本的な機能単位であり、尿細管からなる。
  5. 腎臓の尿細管では糖、アミノ酸、水分や電解質などの再吸収が行われる。

↓解答・解説はこちら↓

  1. 腎臓は横隔膜の下、背骨の左側に位置するソラマメ状の臓器である。
    ⇒「×」 腎臓は通常、左右に存在する一対のソラマメ状の臓器です。
  2. 腎臓は水分や電解質などの調節に関わり尿の生成のみを行っている。
    ⇒「×」 尿の生成の他、エリスロポエチンという赤血球の産生を促すホルモンの分泌なども行っています。
  3. 腎機能が低下すると薬物の除去機能が低下し、医薬品の作用が過度にあらわれることがある。
    ⇒「○」 腎機能の状態によって、投与する医薬品の用量が異なってくる場合もあります。
  4. ネフロンは腎臓の基本的な機能単位であり、尿細管からなる。
    ⇒「×」 ネフロンは腎小体と尿細管からなります。
  5. 腎臓の尿細管では糖、アミノ酸、水分や電解質などの再吸収が行われる。
    ⇒「○」 尿細管での再吸収に関わる薬として利尿剤などがあります。
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